実例医学知識4 中心静脈栄養(CVC)のリスク

1 食事の経口摂取が困難な患者に対し、経腸栄養(経管栄養)又は経静脈栄養が行われる。後者のうち、抹消静脈にカテーテルを挿入し、比較的浸透圧の低い栄養液を投与する方法が抹消静脈栄養法(PPN)、中心静脈にカテーテル(中心静脈カテーテル=CVC)を挿入し、浸透圧の高い高濃度の栄養液を投与する方法を中心静脈栄養(TPN)と呼び、後者は、日本では、IVHと呼ばれることが多い。

2 抹消静脈栄養と中心静脈栄養は、経静脈栄養が困難な場合に、経静脈栄養の実施期間(短期の場合はPPN、長期の場合はTPN)、栄養障害の程度(軽度の場合はPPN、重度の場合はTPN)等を考慮して判断される。

3 経静脈栄養は、種々の合併症があるため、可能な限り、経口摂取、経腸栄養を選択すべきであり、経静脈栄養が行われるのは、経腸栄養では栄養管理が困難な場合である。特にTPNは、カテーテル関連血流感染(CRBSI)という重篤な合併症があるため、消化管に異常がない場合は、禁忌であるTPNは、その危険が効果を上回る場合は、禁忌である。

4 CVCの挿入部位として、主なものは、鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈、肘静脈等であるが、大腿静脈は、深部静脈血栓症の危険が高く、かつ、陰部に近く、感染の危険も高いため、他に方法がない場合に行われる。血栓が生じやすいため、長期使用には不適である。

5 中心静脈栄養は、カテーテルの表面及び内側から微生物が体内に侵入する危険を伴うため、血液感染(CRBSI)が生じやすく、致死的となることから、その防止に最新の注意を払う必要がある。

 CRBSIの防止対策として、中心静脈栄養の実施は必要性が高い場合に限定する、特に大腿静脈へのCVCの挿入は、血栓と感染が発生しやすいため、他の手段がない場合に限定する、発熱等の診療症状、カテーテル挿入部位の観察、白血球数(WBC)、CRP等のモニタリングにより、CRBSIを早期に発見すること、CRBSIの疑いがある場合には直ちにCVCを抜去することとされている。

医療事故の基礎知識

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