実例医学知識9 乳がん検査の特徴と針生検の問題

1 乳がん検査の特質  

 マンモグラフィとエコーは,視触診では分からない早期の乳がんも発見でき,より正確かつ詳細な情報が得るために実施するが,マンモグラフィは,30代以前の若い女性の場合は異常を発見し難く,他方,エコーは,そのような問題は無いが,検査者の能力によるバラつきがあるという問題があるため,両方の検査を行うことが多い。 

細胞診は,病変部の乳腺に細い針を刺して採取した細胞を顕微鏡で観察してがん細胞かどうかを判断する方法であり,身体への侵襲が少ないが,確実な判断を行うには病理検査が必要であるため,多くの場合,さらに針生検を実施するか,細胞診を行わずに針生検を実施する。  

 針生検(コアニードル生検=CNBとより太い針を用いるマンモトーム生検が一般的であるが,コアニードル生検を前提に述べる)は,病変部に太い針を刺し,組織片を採取する方法であり,数十個の細胞を採取する細胞診と異なり,採取した検体による病理検査を行い,確実な判断が可能となる。最初に細胞診を行うか,針生検を行うかは,施設によって異なるが,細胞診は身体への侵襲度が低く,簡易に実施できる反面,感度(陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率)に劣るため,確定診断には針生検が有用である。

2 針生検の問題  

 針生検は,病変部が正しく採取されていれば,多くの場合,正確な診断が可能であるが,採取者の技量にもよるが,病変部が正しく採取されない可能性があり,また,正しく採取されたとしても病変のごく一部を検査するものであり,病変の全貌を正確に把握できない場合もあるので,針生検も絶対的ではない。 ある調査によって,標本の数に応じた感度は,1本:76.2%,2本:80.9%,3本89.2%,4本95.2%と報告されているように,標本数が多くなるほど成績が良い。 通常,針生検は最終診断となることから,臨床実務上,検体が病変を採取していないこと,又は検体が病変全体を代表していないことによる誤診を防止すべく,臨床所見と病理所見が整合しない場合の臨床医と病理医のコンサルテーション及び再検査など,以下のような配慮が必要であると,指摘され,実際にも行われている。

針生検は,最終診断になることを常に意識する。

臨床所見を重視する。

臨床所見と病理所見の整合性を意識して病理診断を解釈し,整合しない場合,目的とする病変が確実に採取できているかどうかを検討する。

正常乳腺のみが採取されている時は注意する。

脂肪組織のみが採取されている場合,病変が少ない場合は再検査する。 臨床医と病理医のディスカッションが重要である。 多数標本を採取する。

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