相談には流行のようなものがあり、この2年間程、何故か顔面の美容整形による医療事故のご相談が増えており、訴訟提起した事案が複数あります。
多様な事案がありますが、比較的多いのは、目の下への脂肪注入、目の下や法令線へのアルカミド、アクアミド等のフィラーの注入、鼻の整形手術(鼻中隔延長術)、二重瞼にする整形手術、術後感染症などです。
美容整形事案の特徴として、医療側において、(自由診療に共通する問題ですが)カルテの記載が不十分であり、診療経過の詳細が分からない、患者にメリットばかり強調し、事前のリスクの説明が不十分である、具体的な術式を説明しておらず、カルテの手術記事も乏しいため、術式の詳細が分からない、他方で患者側においては、外観の美的損害について、第三者が目で見て感じるよりも被害意識が著しく強い、後遺障害の評価が困難、第三者の協力医(助言・意見書を依頼)が得られにくい、などがあり、これらの問題が解決を困難にしています。
過失の例としては、フィラーや脂肪の注入量が過大である、元々リスクが大きい措置をリスクの説明なしにしているなど、単純なものも多く、比較的容易に立証できる事案もあります。
脂肪注入事案の例
顔面の脂肪注入は、繊細な手技が要請され、ごく微量を分散して均一に注入する必要があり、これを怠ると、不均衡が生じ、注入量が多い部分に嚢胞(シスト)が生じ、腫脹となったり、瘢痕拘縮となるなどの問題が生じる。問題が生じた場合、手術しないで治療(修正)できる場合もあるが、手術による除去を要する場合があり、後者の場合、瘢痕拘縮や神経損傷等のリスクがある。
私は、この間、複数事案の解決過程で勉強し、他事案と同様にご相談をお受けしており、過失と因果関係が立証できる事案については、損害賠償請求を行っています。
損害賠償が得られた金額は、数百万円から4000万円と幅があり、高額事案は、被害の重大性もさることながら、患者の年収が特に高い点が大きく影響しています。