前に下記記事で紹介した下記事案の一審判決(大阪地裁・令和元年9月25日判決)が「医療判例解説」の12月号に掲載されているので、再掲載します。
長年裁判で争ってきた上記事故が大阪高裁での和解で終了しました。
珍しい事故であり、立証に絶大な労力を投入し、苦心しましたが、一審で全面勝訴したものの、控訴審において、医療側の過失は認められるが、障害との因果関係は一部のみ認め、600万円が相当という裁判所の和解案を受け入れ、訴訟上和解となったものです。
多数の協力医師の先生方、ご支援、ありがとうございました。
本件と類似事案の裁判は見聞きしたことがなく、裁判としては珍しい事案ですが、腹膜透析時の類似事故自体は他にも発生しており、かつ、「下腹部の損傷と離れた部位にある下肢の末梢神経障害の因果関係」をどのように立証するか、という、末梢神経障害の立証に関しては、痔の手術後の縫合不全によって、敗血症及び下肢痛が生じた事案(刑事告訴担当事案)や、交通事故による神経根障害など、共通事案が相当あり、参考価値があると考えます。
(事案概要)
透析専門病院での腹膜透析の導入時、カテーテルを留置した際に、カテーテルが腹腔外に突出し、医師がそれに気づかぬまま、透析を2回し、スムーズにできないため、通常の位置異常と誤解し、α整復術を実施したところ、是正できず、患者が激痛を訴えたことから、中止し、他院に転院して治療を受けたものの、下腹部の疼痛及び歩行障害等の後遺障害が残った。
(争点)
カテーテルは腹腔外に突出したか・・・立証〇
過失・・・立証〇
下腹部痛及び歩行機能障害等の損害との因果関係・・・立証△