以下は、高齢者に多い傷病ですが、高齢者の医療事故に関連する傷病(医療事故の契機となった傷病又は結果として生じた傷病)でもあります。
試しに、平成29年から31年現在までの間に、私が実際に基礎調査以上の業務をお引き受けした事案の件数を書き出してみたところ、実際にも、下記のように多くなっています。全て患者が60台後半以上の高齢で、カッコ内は、示談解決したか、勝訴判決を受けた事案です。
病院内転倒:4(1) 大腸がん:5 大腸内視鏡検査:1(1) 胃がん:2 脱水:2(1)
心筋梗塞:2(1) 脳梗塞:1(1) 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症:1(1)
高齢者に転倒事故が多く、余命を悪化させる原因であること、大腸がんの発症が増大していること、がよく言われていますが、正に、それを裏付ける実態となっています。
なお、敗血症・誤嚥性肺炎は、様々な事故・傷病の最終段階として現れ、死因となることが多いため、カウントしていませんが、医療事故に関連する疾患としては最多です。
高齢者の場合、症状が出にくい、身体予備能力が低いため、病状が急速に悪化するなどの特徴から、死亡率が高く、死亡事故につながりやすいと同時に、医療機関側の予見可能性の難しい傾向があり、患者側の立証に苦労を要します。